ビットコインに贈与税や相続税はかかる?

ビットコインで利益を得た場合の税金については法の体制が整いつつありますが、実は贈与税や相続税に関しては、どの時点の比率で計算を行うのかなど、まだ明確な基準が示されていないため、判断できずに困っている方も多いかと思います。

しかし現段階では、仮想通貨売却が、株やFXと同様に課税対象となっているため、税理士さんの間でも、贈与税や相続税も同様に課税対象になると考えていたほうがよさそうとする意見が多く、その前提で行動を取る方が無難といえます。

国税庁はビットコイン売買が所得税の雑所得にあたると見解を出している

ちなみに国税庁は、ビットコインの売買で得た利益は雑所得にあたるという見解をタックスアンサーで公表しました。

[平成29年4月1日現在法令等]
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係/国税庁より

株式やFXなどで得た利益の税率は一定のものになっていますが、仮想通貨で得た利益には所得税が適用される形になるため、所得額が増えるにつれて税額もいっしょに増える「累進課税」が適用されることになっています。よって住民税も合わせると多い場合は最大で所得額の55パーセントが税金として徴収されることになります。

税金の計算方法や課税対象になる利益など、詳細についてはこちらの記事で詳しく説明していますので参考にしてみてください。

ビットコイン・仮想通貨の売却益・利益に対する税金とは?

ビットコインの贈与税の計算方法は?

贈与税は 「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に分けて計算する必要があり、その年の1月1日〜12月31日までの1年間にもらった金額を合計して計算します。ちなみに贈与税の基礎控除額は110万円と設定されていて、基礎控除額を差し引いた金額をもとにして、それぞれの額に設定されている税率で計算を行います。

一般贈与財産の計算方法

一般贈与財産とは、兄弟間の贈与や夫婦間の贈与で得た財産のことで、直系尊属以外の親族(夫の父なども含む)や他人から贈与を受けた場合の財産になります。ただし、親から子への贈与でも子が20歳以下の未成年者の場合は「一般贈与財産」という扱いになります。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 3000万円越え
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

贈与税の計算と税率(暦年課税) / 国税庁より

仮に、ビットコインの時価が500万の時に一般贈与財産として贈与を受けた場合の税額は53万円となります。

500万円 - 110万円(基礎控除) = 390万円
390万円 × 20パーセント – 25万円 = 53万円

特例贈与財産の計算方法

特例贈与財産は、親もしくは祖父母から20歳以上の子や孫が贈与を受けた場合の財産になります。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 4500万円以下 4500万円越え
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

贈与税の計算と税率(暦年課税) / 国税庁より

仮に、ビットコインの時価が500万の時に特例贈与財産として贈与を受けた場合の税額は48.5万円となります。

500万円 - 110万円(基礎控除) = 390万円
390万円 × 15パーセント – 10万円 = 48.5万円

ビットコインの相続税の計算方法は?

課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円越え 55% 7,200万円

東京税理士会より

続いて相続税の計算方法について説明していきます。相続税の計算は、上の相続税の表をもとにして、

  1. 遺産額の整理
  2. 課税遺産総額の計算
  3. 相続税の総額の計算
  4. 分割分の相続税を計算

の順番で計算を行います。今回は、ビットコインで1億ほどの財産があり、家族3人(妻、子供2人)で遺産を相続すると仮定し計算をしてみましょう。

1.遺産額の整理

通常、まずは現金や生命保険金、そして借入金など、遺産額の合計を整理するところから始めます。今回は計算の仕組みをわかりやすくするために、遺産をビットコイン1億分だけにあえて限定して、計算を進めていきます。

2.課税遺産総額の計算

遺産額の総額を把握したら、次は課税遺産総額を計算していきます。課税遺産総額とは、「遺産の総額」から「基礎控除額」を引いたものになり、相続税の場合、基礎控除額は 3,000万円+600万円×法定相続人の数 で計算することになっています。

よって今回の基礎控除額は 3,000万円+600万円×3=4800万円 となり、課税遺産総額は、1億円-4800万円で 5200万円 となります。ちなみに遺産額の合計が基礎控除額以下になる場合、相続税は発生しません。

また生命保険金や死亡退職金に関しても控除があり、それぞれ500万円×法定相続人の数の金額が非課税分として控除されます。こちらもプラスして覚えておきましょう。

3.相続税の総額の計算

課税遺産総額が把握できたら、次はそれをもとに相続税の総額を計算していきます。まず総額を法定相続分で分割して一人ひとりの税額を計算し、相続税の総額を計算します。

  • 母: 5200万円 × 1/2 = 2600万円
  • 子供1: 5200万円 × 1/4 = 1300万円
  • 子供2: 5200万円 × 1/4 = 1300万円

この金額をもとに、上で紹介した相続税の表をもとに計算をすると、それぞれ、

  • 母: 2600万円 × 15% – 50万円 = 340万円
  • 子供1: 1300万円 × 15% – 50万円 = 145万円
  • 子供2: 1300万円 × 15% – 50万円 = 145万円

となるので、相続税の総額は 630万円 となります。

4.分割分の相続税を計算

先ほどは法廷相続分で分割して計算をしましたが、相続する割合が実際は違う場合は、その割合をもとに計算をしていきます。今回は仮に妻が50パーセント、子供がそれぞれ25パーセントとすると、

 

  • 母: 630万円 × 50% = 315万円
  • 子供1: 630万円 × 25% = 157.5万円
  • 子供2: 630万円 × 25% = 157.5万円

 

それぞれこのような計算になります。ただし、配偶者の母の分に関しては注意が必要で、配偶者の相続税に関しては、法定相続分(今回は2600万円)もしくは1億6000万円までのいずれか多い金額まで、税額が控除される仕組みになっているため、今回の場合は母の相続税は315万円ではなく「0円」になります。よって最終的な相続税は、

 

  • 母: 0万円
  • 子供1: 157.5万円
  • 子供2: 157.5万円

 

このような金額になります。

実際に計算をする際は、東京税理士会のサイトがわかりやすいので、ぜひこちらを参考にしてみてください。

ビットコインにおける相続税・贈与税の節税方法はあるのか?

ビットコインでも、相続税や贈与税を節税する方法はいくつかあります。

 

贈与税

贈与税は贈与によって手に入れる額を、基礎控除額として設定されている110万円以内に納めれば、税金を支払う必要がありません。これは 「一般贈与財産」と「特例贈与財産」どちらにも当てはまります。

また婚姻期間が20年以上の夫婦で不動産関連に限定したものになりますが、「おしどり贈与」という2,000万円まで課税の対象にならない非課税枠もあるため、こういった上限を知っておくと節税に役立ちます。

相続税

相続税の場合は「相続時精算課税制度」という仕組みを利用するのがオススメです。相続時精算課税制度は簡単にいうと、贈与したものに対して発生する税金の支払いを相続する時まで先延ばしできるというものです。

ビットコインなどの仮想通貨は価格の変動幅が激しく、常に変動するものになるため、現時点で10万円だったものが、相続する時には500万円以上の価値になっているという場合も考えられます。基本的にこのような場合、現時点で贈与すれば10万円に対して課税され、相続時まで所持していれば500万円に対して課税されることになるわけですが、相続時精算課税制度を利用すれば、贈与時の価格の10万円で計算することが可能になるのです。

仮想通貨は今後もさらに価値が上昇していくことが予想できますので、前もって贈与をしておきつつ、相続することになった際に相続時精算課税制度を利用すると、大きく節税することができます。

ビットコインの贈与税・相続税の計算は大変

ビットコインなどの仮想通貨は、売却など利益を得た際の税金については国税庁から明確な発表がありましたが、今回説明した贈与税・相続税については、まだ明確な基準となるものが発表されていないため、現時点ではビットコインを株式のようにみなして考えておくのが一番無難と言えます。

近い将来、贈与や相続をするかもしれない方は、仮想通貨の税金に関する情報をひき続きウォッチし、お近くの税理士さんにお願いできるように動いておくとよいでしょう。

(編集:RomaneCoin編集部)